人は社会で生活を送るためには衣食住を確保する必要があり、そのためには労働により賃金を得なければなりません。
しかし、失業や解雇などさまざまな理由により賃金を得られなくなった場合、衣食住を確保できなくなります。
特に、家賃が払えない場合は住民票などを発行することができず、手続きの際に障害が発生してしまいます。
本記事では、家賃が払えない場合のリスクと最悪の事態を回避する方法について解説します。
家賃が払えないときはどうする?
家賃が払えない場合の対処法としては、「大家さんや管理人に相談する」「何とかしてお金を工面する」の2種類になります。
家賃が払えなくなってしまった場合、まずは大家さんや管理人に相談し、家賃の支払いを延期してもらうよう相談しましょう。
大家さんや管理人の判断により、支払日を延期してもらえたり分割払いにしてもらえたりする可能性があります。
ただし、これらは期限を設けられることがあり、その期限が過ぎてしまうと法的措置を取られる可能性があるため注意が必要です。
大家さんや管理人が交渉に応じてくれなかった場合、借り主は何とかしてお金を工面しなければなりません。
家賃が払えない場合のお金の作り方には下記のような種類があります。
- 公的融資制度の活用
- 生活困窮者自立支援制度の利用
- 家族や知人、友人にお金を借りる
- 身の回りのものを売る
- 日雇いの仕事・短期アルバイトをする など
これらを実施することによって、一時的または継続的にお金を得ることができ、家賃を支払うことができます。
ただし、お金を借りる選択を取った場合は必ず返さなければならず、場合によっては手数料の分だけ多く支払わなければなりません。
家賃滞納が引き起こすリスク
家賃を滞納してしまうことによって、大家さんや管理人の収入を阻害してしまうため、お互いの信頼関係が揺らいでしまいます。
民法では、賃貸借契約は当事者間の信頼関係が破壊されるような債務不履行があった場合、はじめて解約されます。
一般的に、多くの借家では1ヶ月や2ヶ月家賃を滞納した場合、すぐに家を出ていかなければならないと思われがちです。
しかし、先述の通り信頼関係があれば賃貸借契約はすぐに解約されず、一定の猶予期間が得られます。
また、契約解除を行い、貸主が借り主を強制退去させるためには明渡訴訟を提起して判決を得なければなりません。
このように、借り主を強制退去させるためには多くの労力を要するため、貸主はよほどではない限り当事者間で解決したいと考えます。
貸主・借り主間以外にも、家賃滞納をしてしまうことによって下記のようなリスクが発生します。
- 保証人に迷惑をかけてしまう
- 信用情報にキズが付いてしまう
- 今後の家賃入居審査に通りにくくなる など
これらのリスクを避けるために、安定した収入を得られる労働環境で働くことが重要です。
強制退去までの流れ
家賃滞納によって強制退去させられるまでは、下記の流れで進行します・
- 滞納した翌日以降 :借り主に対する督促
- 滞納してから1ヶ月程度 :連帯保証人への請求
- 滞納してから3ヶ月程度 :賃貸契約の解除
- 滞納してから6ヶ月程度 :裁判所による強制執行・強制退去
賃貸契約が解除されているにもかかわらず、入居者が退去しない場合は「不動産明渡請求訴訟」をおこされる可能性があります。
「不動産明渡請求訴訟」は、部屋の明け渡しと滞納している家賃の支払いを求める裁判です。
裁判所により強制退去が伝えられ、明け渡し日(断行日)までに出ていかないと、入居者の所有物が強制的に運び出されます。
家賃未払いでの最悪のシナリオを回避する方法
家賃未払いによる最悪のシナリオとは、裁判所から強制退去が言い渡され、強制的に室外へ荷物が運び出されることです。
また、強制退去が言い渡されて施行されてしまうと信用情報にキズが付いてしまったり、財産が差し押さえられてしまったりします。
これらを避けるためには、下記を実践しましょう。
- 収入と支出を見直す、家計簿を付ける
- 家賃が安い物件へ引っ越す
- 借金がある場合、それらを優先して返済する
- 住み込み寮付きの求人に応募する
住み込み寮付きの求人に応募した場合、家賃が差し引かれた状態で給料が振り込まれます。
企業によっては寮費が発生しないところもあり、ほとんどの場合賃貸物件よりも低額で借りることができます。
住むところと賃金の両方を確保することができるため、生活に困窮している方におすすめの対処方法です。
おわりに
本記事では、家賃が払えない場合のリスクと最悪の事態を回避する方法について解説しました。
家賃が払えない場合は大家さんや管理人に相談するほか、何とかしてお金を作らなければなりません。
家賃滞納をしてしまうと貸主と借り主間の信頼関係にキズが付いてしまうほか、信用情報にキズが付くなどのリスクがあります。
対策としては収入と支出を見直す、家賃が安い物件へ引っ越す、借金を返済する、住み込み寮付きの求人に応募することが有効です。
前提として、家賃は払わなければならないものだという意識を持ち、そのための賃金を得られるように労働しましょう。